ペットショップ・るんるん

DIARY

題名:ありあまる富

2015年04月13日 by おかぴ

本日、午前7時20分

心太が永眠しました。

享年 生後74日でした。

 

姉から悲鳴のような電話を受け

犬たちの食事だけ済ませ実家に戻りました。

 

姉は、「10分そばにいなかった間だった、看取れなかった、1人で逝かせてしまった」と繰り返し繰り返し言い、心太を抱いて号泣していました。

 

母は、「まさか死ぬとは思わなかったから、水を飲ませてあげたかった(腹水がたまるため与水量を調節します)、お母さんが見た時はまだ敷物とシーツの上を行ったり来たりしていた」と

 

私は、死後硬直が始まっていたので、とにかく速やかにエンジェルケアをしてあげました。

私が心太にした事は、写真を撮った事と、悲しみを助長させる、苦しみの痕跡をきれいにすることだけでした。

この子たちの死相は、とても穏やかになっていきます。

どの子もそうです。

心太も、今にもぴょんこしそうにふわふわです。

 

姉が「こんなにかわいいとは思わなかった」と。

仔犬をはじめて飼い、育て、看病をし、見送った後の言葉でした。

 

そして、マルチーズがまた飼えたらいいな・・・と、落ち着いた後、話していました。

 

母は、「何にも手がかからない子、かわいいばっかり」が口癖でした。

 

毎日夜は電話をかけている日々でしたが、昨夜はごめんね・・・ごめんね・・・と、私が飼えなくてごめんと

とにかく、なんでもいいから食べればいいので、店にある全種類の子犬用のフードを持って帰ってもらい、ダメもとでいいから食べさせてみてと渡していました。

昨夜、一番最初に私たちがるんるんで、食べさせたフードを8粒、自分で食べたそうです。

 

そして、朝、その小さな体の心臓は止まりました。

姉はほんのわずかな時間に動かなくなってしまった事がつらくてたまらない。

1人で逝かせてしまったと。

でも、めいがいたそうなんです。めいがサークルのそばにいたそうなんです。そして昼ごろ、空っぽになったサークルの中のにおいをかぎ、心太の所へ来て、においをかいでいました。

 

姉は、何度も病院へ行き、びっしりと体重から食事や排せつの時間までノートに書き記しています。

心太お手入れセットも、台所の心太のお食事セット、お薬セット・・・なにもかもがまだそこにあります。

 

母と姉は、心太が来てくれてよかったと言っています。

姉は繰り返し、心太の兄弟の子が幸せになって欲しい、幸せになって欲しいと言っています。

 

私は、心太と母と姉にありがとうの感謝と勇気をもらいました。

明日、火葬に行きます。姉は骨が残るのかを心配していましたが、ちゃんと小さくても残るよと言いました。

院長が知らせを聞いて電話をくださり、姉と話をしていましたが、姉をかなり気遣ってくださっていました。

母が、先生が一気にきますから。と話してた通りだったし、先生もわかってたんだろうなと言っていました。

 

すごいお花の数で、お花畑で眠っているようです。

 

姉が、心太は受精した時からもう心臓病は決まっていた事。

母は、運命と。そして、このどろどろと混沌とした世界に差した光だと。

 

2人とも、後悔があり、特に姉は苦しいと思います。

 

私は、心太に、見えない何かを見るよう教えられました。

命と愛情です。

私は、何を優先すべきか、見えている物の本質は何なのか、事象の根源は何なのか、前進するための原動力は何か、限界はどこか、袋小路の中であがいています。心の余裕と時間がない。私が後悔の闇に屈したら、命と向き合えなくなる。

後悔の記憶が次の決断を鈍らせ、私は次の決断を他人にゆだねなければ前進できなくなる。

この決断が次の決断のための材料にして、初めて心太の命と愛の意味を成す。

だから、私はこれからもあがく、最後まであがく。答えも結果も分からないのだから。

私は、やる。

最後まで命と愛情をくれるすべての人間や犬や猫に、私もそれに応える。

 

心ちゃん、ありがとう。

次生まれてくる時は、お姉ちゃんのマルチーズ、もう一回目の心太になるんだよね。

 

心太、生まれて来てくれて本当にありがとう。

 

O

 

心太へ

 

僕らが手にしている富は見えないよ

彼らは奪えないし壊すこともない

世界はただ妬むばっかり

もしも彼らが君の何かを盗んだとして

それはくだらないものだよ

返して貰うまでもない筈

何故なら価値は生命に従って付いている

彼らが手にしている富は買えるんだ

僕らは数えないし失くすこともない

世界はまだ不幸だってさ

もしも君が彼らの言葉に嘆いたとして

それはつまらないことだよ

なみだ流すまでもない筈

何故ならいつも言葉は嘘を孕んでいる

君の影が揺れている

今日限り逢える日時計

何時もの夏がすぐそこにある証

君の喜ぶものはありあまるほどにある

すべて君のもの

笑顔を見せて

もしも彼らが君の何かを盗んだとして

それはくだらないものだよ

返して貰うまでもない筈

何故なら価値は生命に従って付いている

ほらね君には富が溢れている

(椎名林檎:ありあまる富)